われは海の子
一 我は海の子 白波の
さわぐいそべの 松原に
煙たなびく とまやこそ
我がなつかしき 住家なれ
二 生まれて潮に ゆあみして
波を子守の 歌と聞き
千里寄せくる 海の気を
吸いてわらべと なりにけり
三 高く鼻つく いその香に
不断の花の かおりあり
なぎさの松に 吹く風を
いみじき楽と 我は聞く
四 丈余のろかい あやつりて
ゆくて定めぬ 波まくら
ももひろちひろ 海の底
遊びなれたる 庭広し
五 いくとせここに きたえたる
鉄より堅き かいなあり
吹く潮風に 黒みたる
はだは赤銅 さながらに
六 波にただよう 氷山も
来らば来れ 恐れんや
海巻上ぐる 竜巻も
起らば起れ 驚かじ
七 いで大船を 乗出して
我は拾わん 海の富
いで軍艦に 乗り組みて
我は護らん 海の国