琵琶湖周航
の歌
一 われは湖の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
のぼる狭霧や さざなみの
滋賀の都よ いざさらば
二 松は緑に 砂白き
雄松が里の 乙女子は
赤い椿の 森陰に
はかない恋に 泣くとかや
三 波の間に間に 漂えば
赤い泊灯 懐かしみ
行方定めぬ 浪枕
今日は今津か 長浜か
四 瑠璃の花園 珊瑚の宮
古い伝えの 竹生島
仏の御手に 抱かれて
眠れ乙女子 安らけく
五 矢の根は深く 埋もれて
夏草しげき 堀の跡
古城にひとり たたずめば
比良も伊吹も 夢のごと
六 西国十番 長命寺
汚れの現世 遠く去りて
黄金の波に いざ漕がん
語れ我が友 熱き心